目を覆うばかりのDIY〜 素人工作は道具次第 〜
日曜大工と呼べるのはまだ良い方。オーディオマニアのスピーカー工作の87%はリビングルームで行われます(1998年調べ)。リビングルームと言えば、応接室として使われることも多い一般家屋では最も格調高い部屋のひとつです。

そんな環境でできる度をわきまえたDIYについて、私の経験と、木工をやるにあたって人から受けたアドバイスを紹介したいと思います。


切る−空ける
丸ノコ リビングで使ってはいけません。丸ノコのメリットは、刃がしっかり取り付けられているので、ちゃんと使えば切り口の直角がきちんと出て(「カネが出る」という)、ガイドを使えば真っ直ぐ切れることです。速いので、大量の裁断には必需品でしょう。
裁断寸法の精度は治具を駆使して1mm以下だそうです。つまり1mm程度は狂うということ。
また、買ってくればすぐ使いこなせるというものでもないそうです。

デメリットもたくさんあります。

「高い」
  • ちゃんとしたものはホームセンターの安売りでも1万円程度はする。
  • さらに、しっかりした台と真っ直ぐ切るためのガイドが必要。
  • 外で使おうとすると、リール巻きのキャブタイアケーブルも必要。
  • 不自由なく使うためには広い場所が必要。
「危ない」
  • 人に向けてはいけません。
「うるさい」
  • 市街地に住んでいる限り、夜間の作業は社会的に受け入れてもらえないことでしょう。
私の場合、使える場所を確保できそうになかったので断念しました。
 
手引鋸(のこぎり) 中学校の工作で真っ直ぐ切れなくて嫌になったことありませんか?それはフリーハンドでやるからです。
まっすぐな線を引くときは定規をあてるのに、鋸は何でフリーハンドなのでしょう?
「真っ直ぐ切れない」
「木口の直角(カネ)がでない」
という弱点はすべてフリーハンドだからです。うまく使えれば、
「安い」
2000円くらい。替え刃は1000円しません。
「音が良い」
切る音です。
さて、まっすぐな線を引くときと同じように定規を使いましょう。鋸用の定規(ソーガイド)があるのです。熟練の必要はありません。
 
ジグソー スピーカー工作ではユニットの取り付け穴の切り抜きに使います。直線は苦手です。慣れないとカネも出ません。安物を買うと、すぐに煙を吐いてトルクがなくなりますので、そこそこのを選ぶのがいいと思います。

また、ジグソーではいくらガイドを工夫しても直線を切るのは困難を極めます。あきらめましょう。

スピーカーユニットの取り付け穴を空ける場合、12cm以下であれば電動ドリルと自在錐(きり)を薦めます。
 

ソ−ガイド ソーガイドは商品名ですが気にしないことにします。ようするに、鋸の刃を挟んで直角や直線が狂わないようにするためのサポート工具です。
自作のスピーカーはこれと手引鋸で切り出しました。また、1mのステンレスの直定規をガイドにして、91cmの直線を切り出したこともありますが、問題なく真っ直ぐ切れました。

ちなみに、鋸を使ったのは中学のとき以来ですが、定規の固定を慎重にやったので、精度は0.5mm以下でした。
 

自在錐 電動ドリルドライバーに取り付けて、12cm以下の丸穴をきれいに空けることができます。どこのホームセンターにもあるものです。注意点をあえて言えば、以下のようなことでしょうか。
  • 重くて長い棒がくるくる回るので、回転速度は程々に抑えること。
  • トルクを一番小さくして、ドリル本体に無理な力をかけないようにすること。でないとドリルから煙が出ます(出ました ^/.^;)。
  • 下穴を空けてから取り掛かること。
  • 円の中心では木が摩擦で焦げて煙が出ることがあるが、ひるまないこと。
合板が焦げると、接着剤が焦げるため嫌なにおいがします。換気にも注意しましょう。


組み立て

ハタガネ
ハタガネはたくさん使うのが良いですが、費用もかかります。

また、ハタガネは、締めたところしか効きませんので、少ないハタガネでは、締め付けが非均一になります。

どうしても少ないハタガネで組み立てる場合には、写真のように、補助材(端材)を使って#型を組み、その上から押えると良いでしょう。

写真は、30cm×45cmのものを、ハタガネ2本で固定しているところで、材料の端だけでなく、中央部付近も均一に押えが効きます。

接着
箱物を作るとどうしてもできてしまう隙間。釘や木ネジで押え込むのも手ですが、スピーカーの場合には、板を無理に曲げることによる歪が音に悪影響を与えます。

どうしても隙間ができる時は、無理に密着させずにスキマにボンドを充填しましょう。
大きな隙間には、水中ボンドやコンクリボンド、狭い隙間にはエポキシ系の接着剤が良いです。

エポキシ系の接着剤は、硬化直前に粘度が急激に低下する性質があるので、たれ落ちないような処理が必要ですが、逆に、ドライヤーなどであぶってやるとさらさらとスキマに流れ込んでくれます。

また、斜めカットのような微妙な接着には、密着させるよりも、わざと隙間を大きく空けてボンドを充填しやすくした方が良い結果が得られます。(溶接みたいなテクニックです。)

ケーブルの処理
ケーブルの直出し処理をする場合、理想的にはケーブルぎりぎりの穴を開けてスキマなく通すことができれば良いのですが、そんなにうまくは行きません。

そのため、通常はエポキシで固めるわけですが、エポキシ自体が滴れてしまうためにうまく行かないこともあります。

そこで、接着で隙間にボンドを充填させたい時と同じように、図のようにわざと大き目のドリルで浅めの穴を作り、そこにボンドを充填すると音漏れのない処理ができます。



徐々に増やしていきます。

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