目を覆うばかりのDIY

「罠にかかる初心者」


なにぶん自作DIYと言っても経験はスピーカー木工とパソコンくらい。
そんな私が何も知らずに手を出した熟練者向けの手法と、役に立たなかった道具たち。

道具

鉋(かんな)
使ってはいけない工具の筆頭でしょう。
無垢材の表面を仕上げるなんぞもってのほかです。例外的に使える場合と絶対避けるべき場合について、ポイントをあげておきましょう。
面取り 隙間ができてどうしようもなくなることはないので、まあ使用可といえるでしょう。
どうしようもなくみっともなくなってしまったら、木工やすりとサンドペーパーでリカバリーが効きます。
表面仕上げ 仕上げに鉋を使おうなどと、思い上がってはいけません。研磨剤と金床を使って、一週間刃を研ぎ、鉋の刃の表裏を鏡のように仕上げる根性と腕前のある人だけに資格のある領域です。

仕上げではありませんが、スピーカーの底板の裏側(床と接触する部分)にガタが出ないように、周辺部を残して板の真ん中だけを薄く削ろうとしたことがありますが、それさえ途中で破綻しました。平面削りはとにかくうまくいかないのです。
集成材削り 集成材は頑丈できれいで良いのですが、2〜3cmの短冊が組み合わされているので、木目が一定ではないので注意が必要です。接着された隣の短冊と目が逆ということがあります。
つまり、途中まできれいに削れていても、つなぎ目を越えたとたんに荒れてしまった、ということが当たり前に起こるのです(起こりました)。

板の合わせ目を微調整する場合にも、つなぎ目をまたぐことにならないか、十分注意して進める必要があります。できれば、やすりを勧めます。
寸法の微調整 組み上がってから、出っ張った部分を削って整えるくらいなら、面取りと同様に注意して進めれば大丈夫でしょう。他に手がないともいえます。

たとえば、こういう用途にやすりを使うと、削らなくていいところまでギザギザに削ってしまうので見た目が良くありません。
ジグソー
別に使ってもいいし私も使いましたが、準備を怠って、ジグソーだけで済まそうとしないほうが良いです。

具体的には、おがくずを吸い取る機構がついていたら、使うべきです。せっかく目標の線をしっかり書いておいても、見えなくてはトレースできません。

保護のために眼鏡も必要です。ケガキ線を見ながらジグソーを使うと、近くまで覗き込むことになり、刃が折れたりしたら後悔くらいではすみません。安心して作業できることは、必ず仕上げの好結果に結びつきます。
ハタ金
けちけちせずに、たくさん使うこと。
以上
回転やすり

ドリルソー

ドリルの先に取りつける直径5mmくらいのドラム回転型のやすりです。よほど細かい部分でなければ、木工やすりを手でゴシゴシやったほうがはるかに効率的で、正確です。

同様に、穴の径を広げるために、ドリルの側面にやすりの目の入ったドリルソーなるものも使ってみましたが、少なくとも、スピーカーに使う15mm以上の厚さの合板、集成材には役に立たないといえます。



工作
集成材の罠  
集成材は木目がきれいです。
木の繋ぎ合わせも、フローリングの床を見慣れた目には自然に映ります。

さらに、密度も高く硬いので、音にも良さそうだし、合板のようなへなへなスライスの寄せ集めと違って、ローカルな組織がしっかりしており、木ネジを何回か取り外ししたくらいではネジ山が馬鹿になりにくいという長所もあります。

そういう理由で、私は集成材を好んで使いますし、合板を使った時にも、バッフルだけは集成材か単板を使います。

一方、集成材の弱点は、
  • 釘打ちで簡単に割れること
  • 湿度の変化により完成後に割れること
  • 単板に比べて鉋がけが難しいこと
  • 合板に比べて高価なこと
です。

まず、釘打ちはいけません。私も、何も知らずに釘を打ったら、「パカッ」と簡単に割れてくれました。
ただ、非常にきれいに割れるので、簡単に木工ボンドで接着、復旧できます。

どうしても釘を使いたい時は、下穴を開けて木ネジを使います。これも、下穴サイズが不十分だと割れます。ネジが効くぎりぎりの大きさの下穴を開ける練習をしましょう。
下穴には、「下穴錐」という専用のドリルの刃を使います。電動ドリルを持っていなければすぐに買いましょう。

経年変化でも割れます。
したがって、材料を湿気から守るために、塗装が不可欠です。密閉型のキャビネットでは問題は少ないでしょうが、そうでない限り内側も隙間なく塗装する必要があります。

その結果、塗装も含めたコストはさらに高くなりますが、割れ対策に手間をかけると、自動的に美しくなります。
個人的にはお勧めの材料です。
集成材の種類 
木工のプロではないので、多くの材料を知っているわけではありません。
使ったことのある集成材は、
  • 米栂(べいつが)
  • パイン
の2種類ですが、いずれもホームセンターで容易に入手できるものです。厚さは合板と同じ区分けでそろっています。

米栂は、都心部の住宅の柱に多く使われている木材で、大変強度が高いのですが、集成材程度の厚さでは釘打ち等に対しては割れやすいようです。色は薄いので、どんな部屋にも良く合います。
板を切った状態では、かんかんと響くのですが、悪い響きではありません。音量にもよりますが、私の音量と使い方では、十分に補強して箱にしましたので、あまり問題になりませんでした。

割れやすいので、少しでもストレスを緩和するために反りの無いのを選びましょう。また、結構パテで埋めてある板が目に付きますので、注意が必要です。

パインは黄色っぽい材料で、慣れれば良い感じです。米栂よりは粘りがあって割れにくいかもしれませんが、先に米栂の経験があったので、慎重に扱ったこともあり、問題が出たことはありません。
米栂よりも品質は安定しているようです。


穴あけ〜切り抜き
FE88ES用のキャビネットを作成する時に、初めて四角い切り抜きをやりました。

本当はややこしいところはハンズにまかせようと思ったのですが、加工代金が高く、しかも数が多いので、けちってしまいましたが、おかげさまで失敗続出。

絶好のホームページの更新ネタとなりました。
ここでの手順は、 の3ステップです。
穴あけ(1)
後になって思えば当たり前のことだったのです。

合板は表面の突板が割れやすいので、穴あけの表側はきれいでも、ドリルが中から突き出してくる裏側では突板がめくれあがってしまうのです。

通常は、このようなことを避けるために、裏側から当て木をします。

適当な端材がなかったために、宙に浮かしてドリルで突き抜いた結果がこのザマです。
穴あけ(2)
2回目からは学習効果が働きます。

当て木ができないので、途中まで空けたら裏返して、裏から空けます。

表と裏とで穴あけの場所がずれては困りますので、当然、下穴を貫通させておいてから、本穴あけにかかります。

右の写真は、表から途中までの穴を空けたところです。
穴あけ(3)
表と裏の両方からドリルを立てて、真ん中で貫通させた結果、写真のように突板のめくれもなく、きれいに空けることができました。

もちろん、表からだけ一気に空けても、端材を裏に重ねておけば、同じようにきれいに明けることができるはずです。
応用
歯が一方向に動く時に端が割れるのは、ドリルに限りません。

かんなでも同じように鉋の動きの下流側の端が割れますが、これも、当て木をすることで、割れを防ぐことができます。


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